2024年11〜12月に購入した本。
アーサー・C・ダント 2024 『物語としての歴史 ── 歴史の分析哲学』、筑摩書房。
歴史学の言語論的転回をもたらした書としてよく言及されるが、今になって文庫化されたということで、そうしたコンテクストは措いておいて、歴史という知識の成り立ちを取り扱う議論の進め方を体感するために読んでおきたい。最初の数章をさっと読んだ限りでは、例え話も平易であり、ボリュームの割には心穏やかに理解できそうな気がする。
エルンスト・H・ゴンブリッチ 2024 『美術の物語 ポケット版』、河出書房新社。
すでに散々言われているように、ポケットには入らない。本がちょうど中間で文章のパートと図版のパートに分かれており、それぞれにスピンが付けられている。図版の量だけを見るとまるで図鑑のようだが、文章が圧倒的に読みやすいため(そのためにどれだけの制約を課したかが序文で語られている)、きちんと最初から読もうという気になる。毎日少しずつ図版の番号が進んでいくのが、ゲームのステージをクリアしていく感覚で楽しめる。
横川理彦 2024 『NEIRO ── よい「音色」とは何か』、ビー・エヌ・エヌ。
上の『美術の物語』とは対照的に、こちらは世界中の多種多様な音色に関するカタログのようなつくりになっている。項目ごとにYouTubeに飛べるQRコードが掲載されており、文章に目をやりながらさっとスマホをかざして関連動画を流すことができる。律儀に読み進めるよりは、何か知識を得る必要が生じた際(例えば、自分が知らないスタイルを取り入れた曲を作ろうとする時)にリファレンスとして使うことが想定されているように思われる。
松村誠一郎(編著) 2024 『サウンドデザイン』、コロナ社。
タイトルや体裁からは想起しにくいが、音響工学の概観的教科書というよりは、アートも含めた分野ごとの応用・実用の紹介という構成になっている。その中では創作楽器と聴能形成の章が他であまり見かけない内容となっており、読み込んでおきたい。
田中“hally”治久 2024 『ゲーム音楽はどこから来たのか ── ゲームサウンドの歴史と構造』、Pヴァイン。
エレメカ時代にまで遡って話が始まっているので音源方式や基盤のマニアックな知識が詰め込まれているのかと思いきや案外そうではなく、理論的考察もふんだんに盛り込まれている。むしろどちらかというと、現状において理論を固めようとするなら歴史的アプローチが欠かせないという認識が土台になっているように思われる。
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