音響空間を展示する

 2024年1月17日(水)〜22日(月)に、京都精華大学Garrely Terra-Sにて、音響作品の展示会「Garrely Hibika-S ―― 音響空間を展示する」を実施します(各日11:00〜18:00、日曜休場)。ギャラリーの一区画に12本のスピーカを設置し、そこに存在しない何事かが聴覚的に立ち現れるような表現をコンセプトに、谷口や学生・卒業生が出品します。
 20日(土)には、福田貴成さんをゲストに招いてトークセッションを実施します。両耳聴やステレオフォニックについて論じこられた福田さんと、作品の講評や討議を通じて、音の空間性についてわいわいお話しできればと考えています。

 以下、谷口の出品作品についての覚え書き。

《snap sugoi umai》

 16本の手から圧倒的なコンビネーションで指パッチンが繰り広げられるという設定。試作段階で「《Clapping Music》に因んでいるのか」と指摘されたが、ライヒであればどちらかといえば《Drumming》の着想に近い。打楽器合奏を内側で聴いたらどうなるかをイメージしている。
 スピーカ同士の間に最大十数メートルの距離があるため、聴く位置によって各スピーカから届く音にわずかな時間差が生じ、その位置でしか感じられないグルーヴが得られる。近年話題に取り上げられる立体音響作品は基本的にリスニングポイントを固定したものが多いので、逆にリスニングポイントによって聞こえ方が変わる作品を志向した。

《neoki (embedded)》

 大分前に勉強用に購入した初音ミクに出番を与えるべく制作した曲。展開に応じて空間の印象が変化するようにしたが、結果的に後半が素朴になってしまったかもしれない(目が覚めるため)。
 歌詞は以下のとおり。この箇所でこの語を使うといった意図はあるものの、内容的には明確な意味はありません(寝起きなので)。

水槽に浸す指先のハーモニー
不意に満ち足りて消える
ねえこうして私は今ここに一人
連れ戻されたの何も持たずに

抗えない櫂を手に取り
堪えのない白んだ陽に目的地を隠したまま
数多の帰途に漕ぎ出しても

揺れるエントランス
取り残した感情があの世界を象る
高らかに意味が溢れる
綻ぶ轍にすべてきらめくほど偽りと知れる
青に溶かした懐かしのコンティネント

1/29追記: 展示期間も終わったので、普通に歌として聴ける音源を貼っておきます。

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