最近購入した本(2025年6月)

 2025年1〜6月に購入した本。といってもほぼ新年度に入ってからのもの。

南田勝也(編) 2025 『ライブミュージックの社会学』、青弓社。

 サブタイトル抜きの書名から感じ取れるように、まさに今ライブ音楽を社会学で扱うために必要な内容を一冊にまとめ上げましたという力強さがある。第1部はライブ音楽の通史のようなもので、これだけで一冊分の読み甲斐がある。特に忠聡太「PA実践の文化史」は、PAに関する初めてのリファレンスと言えるのではないか。第2部の現場編は、いかにも今時の卒論でありそうな論点が並んでいる。

Jan-Peter Herbst & Jonas Menze 2021 Gear Acquisition Syndrome: Consumption of Instruments and Technology in Popular Music, University of Huddersfield Press.

 ギア入手症候群(?)という概念があることは知らなかったが、その筋には“GAS”と略されるくらい認知されているらしい。いずれにせよ、何を指しているかはすぐに察しがつくように、次々と世に出る機材やプラグインを手に入れずにはおれないという悩ましい現象に焦点を当てている。確かに、テクノロジーの消費という点でうってつけの題材かもしれないが、これが音楽の研究書として出てくるということは、他の分野ではそれほどメジャーな現象ではないのだろうか。

Samantha Bennett 2019 Modern records, Maverick Methods: Technology and Process in Popular Music Record Production 1978-2000, Bloomsbury.

 この本の刊行に何年も気づいていなかったのは痛恨でしかない。1970年代末(CMIをその端緒に置いている)から20世紀末までの音楽制作技法を論じているということで、ちょうど Susan Schmidt Horning (この本のブラーブを書いている)の Chasing Sound の続編と位置づけるべき照準の合わせ方。

Russ Hepworth-Sawyer, Joy Hadgson, and Mark Marrington (eds.) 2019 Producing Music, Routledge。

Thomas Brett 2021 The Creative Electronic Music Producer, Routledge.

Gary Bromham, Austin Moore (eds.) 2023 Distortion in Music Production: The Soul of Sonics, Routledge.

Jan-Olof Gullö, Russ Hepworth-Sawyer, Dave Hook, Mark Marrington, Justin Paterson, Rob Toulson (eds.) 2024 Innovation in Music: Technology and Creativity, Routledge.

Michail Exarchos 2024 Reimagining Sample-based Hip Hop: Making Records within Records, Routledge.

 迂闊にも存在を見落としていた Routledge の Perspectives on Music Production シリーズから、とりあえずこれはというものを何冊か。シリーズ全体の趣旨としてはごりごりのアカデミック路線ではなく、特に論集では実務家も多く寄稿しているが、一方で博論本もあるという感じ。

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