2013年の私的まとめ

 年末になってサイトを新設したので、慣らしがてら2013年を振り返っておきます。自分の話よりも書き留めておきたい事項はいろいろあるのだけど、その辺についてはまた追々。

京都に転居する

 今年度からの 京都精華大学赴任に伴い、3月に東京から引越し。「心置きなく音が出せそう」「通勤の便」という二つの条件のもと物件を探した結果、出町柳駅前のビルのワンフロア(夜は無人になる)を改造して住んでいる。もちろん住居として見ればいろいろ支障があるが、仕事場であると同時に道楽でもあるので仕方ない。
 20131230a出町柳は大阪からの鉄道の終着駅であり、さらにそこから観光列車が出ているというだけでもときめき度が高いのだけど、それでいてターミナルとしての佇まいは微塵も感じられないところも気に入っている。目の前には賀茂川と高野川からなる三角州があり、食材を買うだけでもその向かい側まで行かなくてはならない。その三角州では、夜明け頃に鹿の親子が山から下りてきているのを目撃した。そうした町のつくりが阪急沿線育ちにとっては非常に新鮮。おかげで左京区から足を踏み出す気になかなかなれない。四条まで行くのも月に2回くらい。

音楽の実習指導を始める

 自分は音楽を専門にしつつも音大で教えるような人材ではないという認識のもと教員を続けてきたところ、従来の音大教育とはかなり性質の異なるやり方で音楽を教える機会を得ることになった。何の前段階も無くいきなり新設された音楽コースなので不便を挙げればきりがないが、この年で一からカリキュラム作りに携われるのはかなり幸運なことだと思う。
 京都精華大の実技系コースは午後を丸ごと使って実習を行うという時間割になっていて、音楽コースもそれを踏襲している。僕は週3日ある1年次実習のうち1日を担当している(それ以外に、学年が増えれば講義科目もいくつか持つことになる)。正直なところ座学形式でやれる範囲にはもう限界を感じていたところだったので、週に半日でも足りないくらいやってみたいことがある。
 フリーペーパー制作楽典のような枠を取っ払ったところから音の響きと向き合ってもらいたかったので、最初の学期にはハンディレコーダの録音を素材とする音響作品制作を行った。これはピエール・シェフェールがミュジック・コンクレートを体系化したがっていたことにかなりインスパイアされている。MacBook の導入を挟んで2ヶ月くらい時間を掛け、思っていた以上に面白い作品が出てきた。これについては改めて話をまとめたいし、音源も聴いてもらえるようにしたい。
 一方、後期は人文学系のゼミに比較的近い形態で進めている。こちらはフリーペーパー/ウェブサイト/USTREAM番組といった情報発信媒体を作っていて、各学生が調べものやインタビュー、記事執筆に取り組んでいる。このプロジェクトも前期同様、単に制作物の完成が目標であるというよりは、制作を通じて音楽と向き合うために必要な身体感覚や考え方を身に付けてもらうことに主眼がある。

ボーカロイドに関する持論をしつこく続ける

 今年のアウトプットは、何故かほぼ同じタイミングでボーカロイドネタが重なった。メディア技術史の教科書で担当した「音響技術」の章と、『ミュージックマガジン』の特集記事。それぞれ紙幅の都合もあって力点をずらしてあるので、併せて読めばそれぞれ言い足りないところを補う感じになっている。
さらに、日本マス・コミュニケーション学会で遠藤薫先生のベンヤミン×初音ミク本の書評セッションも担当した。

 とはいえ、これらの原稿を書いていて改めて分かったが、僕の言いたいことはこの5年間でまるで変わっていない。もちろんボーカロイドのムーヴメントや認知度が当時の予想以上に大きくなったという面はあるものの、そのおかげで、むしろより素直にボーカロイドを音楽史の延長線上に位置付けられるようになった。
 結局、僕の場合は「レコード音楽には特有の表現形式がある」という持論をアピールする中でボーカロイドに触れるという感じになるので、ボーカロイドに向けられている世の関心とはあまり噛み合っていないのだろうと思う(『メディア技術史』の方は最初からそういう主旨なので構わないのだけど)。そのことを認識しつつ続けるのもよろしくないので、ボーカロイドネタ単体で話題にするのは、多分ここらで打ち切り。
 
 とりあえずはそんなところで。来年になったらそれぞれ具体的に展開したいです。では良いお年を。


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